黒猫半島 #002|伊豆そのものが穴場だ。誰もいない海を自分の海にする

鍋田浜海水浴場でワインクーラーと白ワインを楽しむ大人の海時間

伊豆は穴場だ。

そう言うと、少し変に聞こえるかもしれない。

熱海がある。
伊東がある。
下田がある。
白浜がある。
修善寺がある。

夏になれば海水浴客がやってくる。

連休になれば道路も混む。

テレビでも雑誌でも何度も紹介されてきた。

どう考えても、伊豆は有名観光地だ。

それでも俺は最近、

「伊豆って、実はかなりの穴場なんじゃないか」

と思っている。

ただし、有名な観光地を誰より早く回るという話ではない。

まだ知られていない秘密の浜を教える、という話でもない。

少し時間をずらす。

季節をずらす。

遊び方をずらす。

それだけで、あれほど有名な伊豆から人がいなくなる。

夏の昼間には大勢の人がいた海が、秋になれば静かになる。

冬になれば、もっと静かになる。

朝早く行けば、夏でも驚くほど静かな時間がある。

雨が降れば、さらに人が減る。

つまり、

場所が穴場なのではない。

伊豆には、まだ使われていない時間がたくさん残っている。

そこを遊んでみようと思う。


目次

「穴場」を探すのを、やめてみる

旅行サイトには、

「伊豆の穴場スポット10選」

みたいな記事がたくさんある。

俺も嫌いじゃない。

知らない場所が出てくれば見てしまう。

でも、よく考えると少しおかしい。

ネットで何万人にも紹介された時点で、そこはもう穴場なのか。

SNSで写真が広がれば、人が来る。

人気になれば駐車場が混む。

すると今度は別の穴場を探す。

また紹介される。

また人が来る。

これをずっと繰り返す。

だったら、場所だけで穴場を探さなくてもいいんじゃないか。

同じ場所でも、行く時間を変えればいい。

同じ海でも季節を変える。

遊び方を変える。

それだけで別の場所みたいになる。


伊豆の穴場は「場所」ではなく「時間」にある

例えば海水浴場。

真夏の昼に行けば、人がいる。

当たり前だ。

だったら朝に行く。

あるいは夕方。

夏休みが終わってから行く。

秋に行く。

冬に行く。

泳がない。

椅子を一脚持っていく。

海を見て帰る。

同じ海なのに、まるで違う。

これは結構面白い。

観光というのは普通、

「どこへ行くか」

から考える。

黒猫半島では、

「いつ、そこで何をするか」

から考えてみたい。

すると有名な伊豆の中にも、まだ空いている場所が大量に見つかる。

正確には場所ではない。

空いている時間だ。


朝の海を、自分の海にする

俺ならまず朝を使う。

小さな浜なら特にそうだ。

朝早く行く。

まだ日差しも強くない。

人も少ない。

駐車場にも余裕がある可能性が高い。

浜へ降りる。

海を見る。

そして、

「今日はここだな」

と思ったところへ椅子を置く。

公共の海だ。

当然、自分の土地ではない。

誰かが来れば一緒に使う。

ルールも守る。

それでも、人の少ない海で数時間過ごしていると妙な感覚になる。

まるで、自分の海みたいだ。

高級リゾートのプライベートビーチじゃない。

別荘を買ったわけでもない。

ただ早起きして伊豆へ来ただけ。

それでいい。


鍋田浜なら、少し格好をつける

俺が好きな海の一つに、鍋田浜がある。

大きな海じゃない。

むしろ小さい。

だからいい。

海と周囲の緑との距離が近くて、大きな海水浴場とは違う空気がある。

俺なら朝早く行く。

そして鍋田浜では、少し格好をつけたい。

小さなテーブル。

軽い椅子。

パラソル。

クーラーバッグ。

そして、

ワインクーラー。

ここは譲れない。

氷をたっぷり入れる。

そこへ白ワインを一本。

ギンギンに冷やす。

チーズ。

生ハム。

ナッツ。

そしてワイングラス。

プラスチックのコップではない。

ちゃんとワイングラスを持っていく。

公共の海水浴場である。

しかし気分だけは、

俺のプライベートビーチだ。

少し馬鹿馬鹿しいくらいでいい。

大人の遊びなんて、そのくらいが面白い。

もちろん飲むなら、その日は泳がない。運転もしない。

だったら近くに泊まればいい。

海から上がったらホテルへ行く。

シャワー。

プール。

温泉。

そして、また一杯。

海だけで一日を終わらせない。

これも大人の伊豆だと思う。


九十浜なら、逆に何も持っていかない

九十浜は違う。

同じ小さな海でも、鍋田浜と同じ遊び方はしない。

ここへ大荷物を持っていく気にはならない。

もっと軽くしたい。

椅子。

タオル。

麦わら帽子。

サングラス。

日焼け止め。

そして、

茶色い紙袋。

リュックじゃない。

遠足じゃないんだから、紙袋でいい。

中には塩茹でしたとうもろこしを二本。

俺にとって、海ととうもろこしには少し思い出がある。

昔、ウラジオストクの海辺に五泊したことがある。

浜辺でとうもろこしを売る人が、

「ココローザ、ココローザ!」

と声を出していた。

俺も覚えたロシア語で、

「ドゥバー・ココローザ!」

二本くれ。

海で食べた、ただの茹でとうもろこし。

それが妙にうまかった。

だから今でも、海を見ると時々とうもろこしを食べたくなる。

高級な料理じゃない。

でも旅というのは、こういうものが何十年も記憶に残ったりする。

九十浜へは、

まるで近所のコンビニへ行くような感覚で向かう。

鍋田浜が小さなリゾートなら、

九十浜は秘密基地だ。

同じ「小さな海」でも遊び方はまったく違う。

それが面白い。


外浦なら、何もしない

外浦なら、さらに変える。

ここでは頑張らない。

海を見る。

少し歩く。

椅子を置く。

本でも読む。

それだけ。

何か特別なことをしようとしない。

ここで重要なのは、

鍋田浜、九十浜、外浦のどこが一番優れているかではない。

海によって遊び方を変えることだ。

鍋田浜なら、小さなリゾートを作る。

九十浜なら、秘密基地。

外浦なら、何もしない。

ランキングにした瞬間、全部同じ評価軸になる。

黒猫半島では、それをやりたくない。


海は、泳ぐ場所だけじゃない

伊豆の海が一番もったいないと思うのはここだ。

海水浴場という名前がついているから、

夏に泳ぐ場所だと思ってしまう。

でも海そのものは一年中ある。

9月にもある。

10月にもある。

12月にもある。

2月にもある。

泳がなければいいだけだ。

秋の海へ椅子を持っていく。

冬なら暖かい珈琲を持っていく。

双眼鏡を持って鳥を見る。

本を一冊持っていく。

夕陽を見る。

音楽を聴く。

ただ車の中から眺めてもいい。

海水浴をやめた瞬間、伊豆の海は一年中使える。

これはかなり大きい。


真夏の数週間だけが「海」なのは、もったいない

伊豆の海が一年で最も注目されるのは夏だ。

それは当然だ。

でも50代、60代になったら、真夏の炎天下で朝から夕方まで海水浴をする必要もない。

むしろ俺は、その前後の季節が面白くなってきた。

暑すぎない。

人が少ない。

砂浜が静か。

海を眺める時間が長くなる。

そして冬。

誰も泳いでいない。

海の家もない。

賑やかな音もない。

風と波だけ。

観光業から見れば、売りにくい季節かもしれない。

でも、

静かな海が欲しい大人にとっては、そこが一番価値のある季節かもしれない。

ここに黒猫半島の商いの種がある。


有名観光地なのに、人がいない。

これが伊豆の面白さだと思う。

東京からも遠すぎない。

温泉もある。

海もある。

魚もうまい。

宿もたくさんある。

名前も知られている。

それなのに、

季節を少し外す。

時間を少し外す。

天気を少し外す。

すると急に人が少なくなる。

こんな場所、実はかなり珍しいんじゃないか。

本当に誰にも知られていない秘境まで行く必要はない。

伊豆へ行けばいい。

ただし、みんなと同じ時間に、みんなと同じ遊びをしない。

それだけだ。


雨の日も穴場になる

前回、#001では雨の伊東を考えた。

雨の温泉街を歩く。

昼から一杯。

温泉。

宿。

普通なら旅行のハズレと思われる雨を、遊びに変えてみた。

海も同じだ。

雨の日に泳ぐという話ではない。

雨の海を見る。

車の中から眺める。

雨が弱くなったら少し歩く。

そのあと温泉へ行く。

宿へ入る。

雨が降った瞬間、観光客が減るなら、その時間そのものが穴場になる。

これが面白い。


冬になれば、伊豆そのものが変わる

そして次に試したいのが冬だ。

冬の海。

冬の釣り。

冬のツーリング。

焚き火が認められている場所なら、火を眺める。

温泉へ入る。

夕陽を見る。

熱燗を飲む。

双眼鏡を持って鳥を見る。

夏にはできなかった遊びが出てくる。

つまり、

夏が終わったから伊豆が終わるのではない。

遊び方が変わるだけだ。

これを黒猫半島で一つずつ拾っていきたい。


穴場とは、人に知られていない場所ではない

俺は今、穴場という言葉をこう考えている。

誰にも知られていない場所。

ではない。

まだ価値として使われていない時間。

朝6時の海。

雨の温泉街。

冬の浜。

平日の漁港。

夕暮れの岬。

夜の温泉街。

シーズンオフのホテル。

有名な場所でもいい。

その時間に誰も使っていなければいい。

そして、そこに大人が金を払いたくなる遊び方を作る。

宿。

食事。

温泉。

旅道具。

体験。

交通。

そこまでつながれば、

「穴場紹介サイト」

ではなくなる。

伊豆の空いている時間を、大人の遊びに変えるサイトになる。

俺はこっちをやりたい。


誰もいない海を、自分の海にする

別荘を買わなくていい。

プライベートビーチを所有しなくていい。

秘密の場所を探し回らなくてもいい。

伊豆へ行く。

少し早く行く。

少し季節をずらす。

少し人と違う遊びをする。

椅子を一脚置く。

海を見る。

それだけでいい。

数時間だけ、

「今日はここが俺の海だ」

と思えたら十分だ。

そして気に入ったら、また来ればいい。

毎年同じ海へ行く。

同じ場所へ椅子を置く。

「ああ、今年も来たな」

と思う。

そうなったら、その海はもう観光スポットじゃない。

自分の伊豆だ。


伊豆そのものが穴場だ。

伊豆は有名だ。

だからこそ面白い。

誰も知らない秘境ではない。

宿もある。

温泉もある。

酒場もある。

道路もある。

電車でも行ける。

それなのに、時間を少しずらせば静かになる。

雨が降れば静かになる。

冬になればもっと静かになる。

つまり俺たちは、

便利な観光地の中にある「誰もいない時間」を遊べる。

これが50代、60代にはちょうどいい。

人混みを追いかけなくていい。

観光名所を制覇しなくていい。

海水浴をしなくてもいい。

伊豆にはまだ、

使われていない海がある。

使われていない朝がある。

使われていない雨の日がある。

使われていない冬がある。

観光業が売りにくかった伊豆を、全部拾ってみる。

それが黒猫半島だ。

大人には、大人の伊豆がある。


あなたなら、伊豆のどの時間を遊びますか?

朝の誰もいない海。

雨の温泉街。

冬の漁港。

夕暮れの西伊豆。

静かなホテル。

月の出た夜の浜。

黒猫半島では、これから「穴場スポット」を探すだけではなく、伊豆のまだ使われていない時間を一つずつ遊んでいきます。

マイビーチを作る、大人の海道具

小さなテーブル、椅子、パラソル、クーラーバッグ、ワインクーラー。
海で数時間を気持ちよく過ごすための、黒猫流の道具をまとめました。

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鍋田浜海水浴場でワインクーラーと白ワインを楽しむ大人の海時間

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